8.29.2017

カラーシャの素朴な谷、ルンブール。

今日も、天気は快晴。
チトラール地方は晴天率が高いのが、旅行者にとっては有難い。


今日は、ブンブレット谷を後にして、ルンブール谷へ向かう。
一緒にジープをシェアしていたタカさんは
ブンブレットに滞在してゆっくり子どもたちの写真を撮りたいとのことだったので
私とガイド兼ドライバーのイムランと、二人でルンブールの谷へ。


村を出るとき、谷の長老らしき人と子どもたちが集まっているところを通りかかった。
その長老は私に、カラーシャ語でお祈りのような言葉をあげてくれた。
何て言っていたのかはわからないけど
キラキラ輝く太陽の下で、美しい緑と人々に囲まれて
その場にいたみんなが笑顔で送り出してくれて
なんだかすごく嬉しくて、またしても感極まって泣いてしまった。


本当にここは、なぜだか懐かしい感じがする場所。




気を取り直して、ルンブール谷へ出発!

ブンブレット以上に、ハードな道を進んでゆく。





ルンブールへは、ブンブレットから1時間ほどで到着。

谷の入り口にあるKalash home guest houseへ。





ルンブールは、ブンブレットより規模が小さくこぢんまりとした村。
訪れるツーリストはブンブレットに比べて少ないけれど、
カラーシャの昔からの文化が一番残っているようなので
彼らの生活により密着できる場所だ。


宿から眺める谷。こちらは下流の方。



私的には、フンザよりこっちの方が
よりナウシカの風の谷っぽい感じがする。

ナウシカがメーヴェで飛んでいる姿が、目に浮かぶよ。




それから、村をゆっくり歩いて回った。


川で洗濯をしたり、髪の毛を洗っている女性たち。



洗濯をしている子どもたち。



ミシンで衣装を縫っている女性。



ビーズを使って頭に乗せる飾りを作っている女性。




色とりどりに装飾された衣装が
色鮮やかなルンブールの谷の景色に見事にマッチしている。




これは、川の上流の方の景色。



手前に見えるのはパキスタンの山だけど
奥の方にうっすらと見えるのは、アフガニスタンの山。
ルンブールは、アフガニスタン国境から近いところにある谷だというのを実感する。



ルンブールで私についてくれたセキュリティポリスは、地元のカラーシャの人。
彼曰く、積雪で国境の通行が不可能になる冬季以外は
タリバンなどが峠越えをしてきていないか軍と合同で調査に行くのだそう。

実際に数年前、峠越えをしてきたタリバンと噂される賊たちによって
外国人やカラーシャの人が誘拐・殺害される事件があったらしい。
今は警備が強化されているから大丈夫、とのことなのだが。


チトラールもカラーシャも普段の生活は本当に平和そのものなのに
なんで常にポリスをつけて歩かなければならないのだと、
最初はちょっと不満があったのだけど、
色々話を聞くと、その理由にも納得がいく。
実際カラーシャで私についてくれたこのポリスは超大当たりで、
親切だったしガイドになってくれるし、英語も少し話せたので居てくれて助かった。


でもアフガンにほど近くタリバンなどの存在が近い環境にあることによって、
人々の暮らしが制限されてしまったり旅行者が減ってしまっているのは
とても残念なことだな、と思う。


魅力たっぷりの場所で、たくさんの観光客が訪れていた場所だったのに。

いつか、治安を気にせず自由に旅できるようになるといいな。




この日は夜、ダンスパーティーがあるとのことで
宿のママに、カラーシャの民族衣装を着させてもらった。


ママと、お手伝いをしていた美人さんと。
頭の飾りが重くてすぐに後ろに落ちていってしまい
この写真を撮るのも一苦労だった。笑



夜は8時頃からダンスパーティーが始まった。
子どもたちに仲間に入れてもらい、
クタクタになるまで、声もガラガラになるまで、
楽しく夜を過ごしたのだった。




Y.

2017.8.18
Rumboor Kalash PAKISTAN






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8.27.2017

世界一可愛い?民族の谷カラーシャ。

チトラールへ来た目的は、カラーシャ谷を訪れること。
チトラールは、カラーシャ谷訪問の拠点となる街なのだ。


カラーシャ谷は、チトラール南西部に位置する
ルンブール谷、ブンブレット谷、ビリール谷の3つの谷からなっていて
半農半牧を営む「カラーシャ」という少数民族が住んでいる谷。

イスラム教一色に塗りつぶされているこの地域にありながら
カラーシャは独自の多神教を信仰しているために
「異教徒(カーフィル)」と呼ばれているらしい。
独自の言語である「カラーシャ語」を話す。
チトラール同様、英語はあまり伝わらない。


谷のあちこちに神々の祭壇や聖域があり、
四季折々にさまざまな祭りや儀礼を行う民族。


多くの旅行者がカラーシャ谷に惹きつけられる理由は、
美しい自然や人々、そして何より女性たちの纏う独特の美しい民族衣裳や人々だろう。
私も、カラーシャの人びとの写真を一目見たときから
この可愛い衣裳を着た美しい人たちに会いたくて、
カラーシャ谷を訪れてみたくて仕方なかった。


この日は、アルファルークホテルのオーナーが手配してくれたジープで
カラーシャ谷のブンブレットへ。

本当はチトラールからセキュリティポリスをつけなきゃいけないのだけど
経験豊富なガイド兼ドライバーのイムランが何やらうまくやってくれたらしく
地元カラーシャのポリスをつけてもらえることになった。
ポリスの分の宿泊費を払わなくて住むのはとても助かる。


カラーシャへ向かう途中、
チトラールの街が見渡せるビューポイントにて。




ブンブレットへは、チトラールからアユーンという村を経由して2時間半。
谷へたどり着くまでの景色もとってもすばらしくって。



ヒンドゥークシュ山脈に囲まれたこのアユーンの景色は
言葉も出ないほどあまりに綺麗だった。心が震えた。
こらえきれず、思わず目から涙が溢れ出す。
「綺麗」というただそれだけではないような
昔いた場所に戻って来たような、そんな感覚だった。

本当に幸せな気持ちだった。本当にここまで来れてよかった。
カラーシャにたどり着いていないのに、既に感動してしまい
もう正直これで十分、カラーシャにいけなくても悔いはない、と思ったほど。笑


カラーシャへは、なかなかのハードロードが続く。
途中チェックポストがあり、1200ルピーを支払う。
そのチェックポストがちょうどブンブレットとルンブールの分かれ目になっていて
ブンブレットは左に曲がってさらに山肌を進んだ先にある。




ブンブレットは、カラーシャの3つの谷のうち一番規模が大きく、人口も多い。
一番観光地化されていて、村にはホテルやお店が何件も立ち並んでいる。




チトラールの人に事前に聞いたところ、多くの人がブンブレットを勧めて来た。
彼ら曰く、一番景色が綺麗で、見所が多いとのこと。


ブンブレットでは、Butt Kalash guest houseという宿に泊まった。
テラスからの眺めが良くて、温かい家族が迎えてくれる
ホームステイ感覚で泊まれるアットホームな宿。




さっそく、民族衣装を着た可愛い子どもたちとご対面。





そして、少し村を歩き回る。

カラーシャの子どもたちはシャイなのか
写真を撮ろうとするとすぐに隠れちゃう。




なので写真はちょっと難しかったりもするのだけど
仲良くなって、たくさん撮らせてくれた子も。











カラーシャやチトラールの人々はパキスタンの他の地域とはまた違い
青や緑の瞳のをもち、西洋人ぽい顔立ちの人が多い。
西洋と東洋の血が混じりいいとこ取りをしたような
端正な美しい顔立ちの人ばかりで、思わず見とれてしまう。


もともとカラーシャは、はるか西方のツィアムという土地にいて、
流浪の旅の果てにチトラールへたどり着いたのだという。
現在は、インド人より先にこの地方にやって来た
インド・アーリアンの一派であるとされる説が有力なようだが
正確なことはよくわかっていないらしい。

この子たちの祖先は、どこからやってきたのだろう。



もともとチトラール全域にいたカラーシャだったけど
イスラムへの改宗が進められて
現在では3つの谷だけが、彼らの居住地になっている。

中でも、ビリール村はほとんどがムスリムで
ブンブレットも近年ではムスリムへの改宗者が多くなっているらしい。
外からの援助がどんどん入り、観光地化され、
だんだんとカラーシャ本来の姿は失われていっているという話も聞いた。

観光地化され旅がしやすくなるのは嬉しいけれど
それによって失われるものも多いのだろう。複雑な気持ち。

ブンブレットには、こんなお土産やさんも。







それでもやっぱりブンブレットの谷は自然がいっぱいで
歩いていてとっても気持ちが良かった。


村のあちこちにあるトウモロコシ畑。


ひまわりも太陽をたくさん浴びて気持ち良さそう。




こんなところで一日のんびり本でも読んで過ごしたい。








憧れの民族に会うことができ、また一つ夢が叶った。
 
たった一日だけれど、ブンブレットを満喫することができて良かった*












Y.

2017.8.17
Bumburait Kalash PAKISTAN





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8.26.2017

真夜中のドライブ。

ローカルバスの車内で流れていた、チトラール音楽。


夜の8時。
ローカルバスに乗り、ペシャワールを出発。

チトラールまでは、途中悪路の続くロワライ峠(3720m)を超えて
約12〜13時間のハードな移動となる。


じつは私、パキスタンにくる前から
慢性胃炎・逆流性食道炎のために常に胃のあたりの不調を感じていた。
とても、旅に出るべき状態ではないなと思いながらも日本を出発。
旅では移動も多くなり体力も使う。

こんな状態で、果たして私は
未舗装の山道を越えてゆく
ローカルバス12時間の移動に耐えることができるのだろうか。

不安でいっぱいだった。

でも、なんとしてでも辿り着きたい。
吐いてでもなんでも行きたいと思った。


朝から消化のいいフルーツのみを軽く食べて
常備の胃薬に酔い止め、吐き気止めを飲んで
できる限りの備えをして出発。





真夜中のドライブがはじまる。


夜でも暑くジメジメとしたペシャワール。
バスの窓を全開にして、
砂埃や排気ガスを含んだむわっとした風を浴びながら
ペシャワールの街を進んでゆく。


一度休憩をとった後
しばらく進むとクネクネとした山道へと差し掛かり
そこから風もどんどん変わっていった。
揺れもだんだんと激しくなってくる。


前の席に座っていたローカルの若者が
突然窓の外に向かって吐いた。
現地の人でも酔うのか…
まだ出発して3時間ほどしか経っていないが
酔ってしまっていてかわいそう。

私は幸いにも、万全の準備の甲斐あってか体はなんともなかった。


バスはどんどん山道を登り、標高を上げてゆく。
窓を開けていると、ひんやり寒さを感じるほどに。
外はすっかり真っ暗なのだけど空気が澄んでいるせいか
颯爽と連なる山が遠目に見える。
窓越しから見上げる空には満天の星。
時には断崖絶壁の崖の間を進んでゆく。
時折すれ違うデコトラは夜仕様で、
ライトもカラフルに光を放っている。

そして山道を右へ左へ、そして前後に揺られ
時にはお尻が座席から飛び上がったりしながら進む。


この車に乗っていたのはみんなチトラール人のようで
車内にはチトラールの心地よい音楽が流れていた。
選曲はどれもその場所の雰囲気にぴったり合っていた。


チトラールに至るまでは、検問が10箇所近くあった。
検問ごとにバスを降りてポリスに訪問の目的を聞かれたり
ノートにツーリスト情報を記入したり
その度に時間がかかってしまう。
バス会社が外国人を乗せたくない理由がわかる気がした。

だけど、一緒にバスに乗っていたチトラーリー男たちは
私たち外国人のせいでたくさん待たされているというのに
嫌な顔ひとつせず文句ひとつ言わず、温かく接してくれた。


真夜中の真っ暗な中でのドライブだったけど
うっすらと見える景色をぼんやりと眺めて
現地の音楽を聴き風と香りを感じ
ローカルパキスタン人と共にバスに揺られて過ごしているのが
ものすごく幸せなことに思えてきた。

みんなあったかくて優しくて
なぜかじーんと涙がこみ上げてくる。



そして、やっぱり私、
パキスタンが本当に好きなんだなって再確認する。
パキスタン人を愛しまくっている。



普通だったら12時間のバス移動なんて苦痛に感じそうなのに
なんだか今回はあっという間だった。





朝の8時ころ、チトラールに無事に到着。
着くやいなやすぐにバスの人に連れられ
ポリスのレジストレーションオフィスへ。

ここチトラールやその先にあるカラーシャ谷に滞在する外国人には
必ずセキュリティ・ポリスをつけることになっているらしい。
チトラールに滞在中は、ホテルの外に出るときはポリスが同行することになる。
カラーシャへ行くときには、宿泊代も払うようになるとのこと。


チトラールでは、これまでに私が訪れた
パキスタンの他のどの場所と比べても
英語を話せる人が少ないように感じた。
ペシャワールからのバス内で英語を話せたのは一人だけだったし
私たちの警護につくポリスも、英語は通じない。

ジェスチャーや、乏しいウルドゥー語を最大限に活用して
コミュニケーションをとるしかなさそうだ。


でも、ここに住む人たちは、私たちを魅了した。
西洋と東洋の血が混ざり合い
本当に綺麗な顔立ちの人ばかり。
そして他のパキ人よりはどこかシャイで控えめで
なんだか私たち日本人とよく似ている気がする。





チトラールは、都会を抜けてきた私たちには
オアシスのように感じる場所だった。

3日ぶりにシャワーを浴びてスッキリできた。
食事はみな胃に優しくて美味しい。
大きすぎず小さすぎず、ちょうどいい街の規模。
温かく、なんだか居心地のいい人々の距離感。
気候も、
酷暑のピンディーやペシャワールを抜けてきた私たちには
暑すぎなくてちょうど良い。
空気は乾燥していて、ベタベタとした嫌な感じがない。




宿も最高で、沈没条件は揃っている。
長居をしてしまいそうな予感がする。






Y.

2017.8.16
Chitral PAKISTAN





8.21.2017

パキスタンの走る芸術、デコトラ。

今日の夜には、ペシャワールからチトラールヘと向かいたい。


お昼前にmazeban hotelをチェックアウト。
荷物だけそのまま置かせてもらうことにした。


チトラールへ行く前に
私はペシャワールで行っておきたい場所があった。


なんでもここペシャワールでは
私も大好きなパキスタン名物
デコトラ(デコレーショントラック)の製造工場があるらしいのだ。


デコトラ工場について、イルファンに聞いてみると
工場に友達がいるから、見学できるか聞いてくれるとのこと。

そして無事に許可が下りたようで、
この日はその場所まで連れて行ってもらうことに。


イルファンは、私たちがRose hotelから移った後も
忙しい中、仕事の合間を縫って
親切にも私たちの旅のサポートをしてくれていた。
イルファンがいなかったら、こんなにもスムーズに
ペシャワールでの旅はできていなかったように思う。
彼には本当に、感謝してもしきれない。
日本に帰ったら、お土産と共に手紙を書いて送りたいな、と考えている。





イルファンと共に、デコトラ工場へ到着。
そこには、デコレーション中トラックの数々…





うわぁぁ…
これはたまらない。


パキスタンでは、あちこちでド派手な装飾の施された
トラックやバスを見かける。
これでもかというくらいにカラフルでエキゾチックに装飾されたトラックは
まさに動く芸術作品。

道路を走っているデコトラを見かけると、つい
「うわぁ〜、可愛い」と呟いてしまう。




トラック運転手たちは職人に依頼し、
年代物の中古車にそれぞれ個性ある装飾を施してもらう。









細かい部分までぎっしりと、模様が描かれている。













装飾がすごいのは、外装だけではない。




内装などのパーツ屋さんもあって




ちゃーんと中も、可愛く装飾されてる。




そうして最終的に出来上がった美しい芸術的なトラックは、運転手たちの誇りだ。






お世話になった、イルファンと。


カラフルでド派手なんだけど、なぜだかデザインが調和されていて
パキスタンの青い空や美しく壮麗な山々に見事にマッチする。


なんて素敵なんだろう。
パキスタン人の、このカラフルで可愛いセンスがとても好き。
日本にもこんな可愛いトラック、あったらいいな。




デコトラが作られている場所を見学できて
たくさんの芸術作品を間近でみることができて、
大満足。





デコトラ工場の見学を終え、ホテルへ。
少し休んでから荷物を持って、
またイルファンのサポートでチトラール行きのバスステーションへ。


ペシャワール→チトラールの陸路ルートについては
ここ数年の、正確な情報は事前には得られていなかった。

数年前は、このルートを通る地域で
タリバンの温床になっている地域があったらしく
外国人には通行が許されない時期があったらしい。
(出て行くという意味で、チトラール→ペシャワールの南下は許されていたとの情報あり)


最悪チトラールへ行くには、
一度ラーワルピンディーに戻り、ギルギットに行ってから
シャンドゥール峠を越えてゆくルートもあると思うのだけど
できることならそんな遠回りはしたくない。


情報が全然なかったので、イルファンに尋ねてみると
バス会社は基本的に外国人を受け入れないという。
でも彼はまた、バス会社の人と交渉してくれ
そのおかげで特別に小さなローカルバスへの乗車を許してもらえた。


今はこのルートは安全とのことで外国人の通行自体は可能なので
もしバスがダメだとしても、自分で車をチャーターしたらいけるらしいが
その場合は11000ルピーほどかかってしまうとのこと。
ローカルバスは、外国人の為少し上乗せ価格ではあるのだけど
一人2100ルピーで行くことができる。




こうして、私たちは
ペシャワールからチトラールへ向けて
バスで北上して行けることとなった。




Y.

2017.8.15
Peshawar PAKISTAN




p.s.
あとあと知ったのだけれど、チトラールヘは
ラーワルピンディーからの直行バスも出ているらしい。
ペシャワールで特別な用事がなければ
ピンディーから向かう方が確実かもしれない。





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