5.02.2017

フンザのNGOを訪ねて。

2017.03.03 PM

午後は、 フンザのKADOというNGOにお邪魔させてもらった。



日本にいるときから連絡を取り、
ホテルの紹介もしてくれたガイドの通称メダカちゃん(日本語も話せる)が、
自分の働いてるNGOに遊びに来なよ、と誘ってくれたのだ。
メダカちゃんは夏の間はガイドもするみたいなんだけど、
今は観光客も来ないので、ここのスタッフとして働いているようだった。
(上の写真に写っているのがメダカちゃん。)

KADOは
パキスタンのギルギット・バルディスタン地域で活動するNGO。
ハンディキャップを持っていたり、社会的に不利な立場にあり
働くことが難しかった現地の女性たちの社会活動への参加増進を目的としている。
私が訪れたのはそのKADOの施設のひとつで
カリマバードの職業訓練施設のような場所。
現地の女性たちが、石の研磨、刺繍、縫製、アクセサリーづくりを学びながら
日々様々な作品を生み出している。
バザールでよく目にするフンザの刺繍小物やカッティングストーンは、
その多くがここの女性たちによって作られているのだそう。

中に案内してもらい、フンザ刺繍小物をつくる女性たちの働いている姿を見せてもらえた。




停電の多いこの地域では、手回しミシンが主流だ。

また、他の部屋では、ストーンカッティングをしたり、
ストーンビーズを組み合わせてアクセサリーをつくっていた。



ここでも本当にあたたかく歓迎してもらえた。
働いている女性たちとは英語は通じなかったけれど、
ラホールから6ヶ月間のプログラムで支援に来ている女性が通訳してくれて、
現地の女性たちとも意思疎通ができた。
「会えて嬉しい」と言ってくれて、みんなと笑顔で握手を交わした。

フンザの刺繍小物は、本当にかわいくてあれもこれも買って帰りたくなる。
とっても細かい目が丁寧に縫い込まれていて思わず見とれてしまう。


フンザのさまざまな植物や伝統の柄がモチーフとなっていて、
色や柄もみんな違っていてどの作品も魅力的だ。

働いているところを見せてくれたお礼に、またチェキで写真を撮ってプレゼントした。
とても喜んでくれて、一瞬にして作業場がチェキ撮影会場になった。
最後まで迷ったけど、チェキを持って来てよかったなー!


フンザではショップやホテルで働いていたり、
街を歩いているのもほとんど男性なので、
こうして地元の女性たちが働いている姿を見るのは貴重な機会。
そんな機会をくれたメダカちゃんに感謝だ。
そして突然の訪問にもかかわらず温かく歓迎してくれた女性たちにも。

カリマバードには、KADOで訓練したのちに独立して、
自分でお店を開いた女性もいるとのことで
彼女が自分の店にも案内してもらい天然石を研磨しているところも見せてもらった。


フンザはイスラム教の中でもイスマーイール派の宗派の人が多く
他の宗派と比べて戒律が緩くかなり寛容らしい。
「フンザの女性は自由だよ」とも聞くけれど
実際今の私たち日本人の感覚からしたら、本当に自由なのは男性だけだろう。
女性は基本的に一人で街を出歩くこともない。
ここでの女性の仕事と言えば、農作業や家の中での仕事がほとんどだ。
確かにギルギットと比べれば街で女性を見かけるけれども、それでも
イスラマバードなど都会に行けば街中でも女性が一人でたくさん働いているし
服装も自由な印象でベールを巻いていない人だって普通にいる。
イスマーイールはいくら他の宗派より寛容だと言えども
やはりフンザも田舎独特の封建的な考えが強い地域ではあると思う。

それでもこうして女性が活躍できる場面が増えて来ているということは
なんだか同じ女性としてとても嬉しく感じた。

:

現地の人たちによるとどうやら
フンザのベストシーズンは夏らしい。
「日本人はみんな杏の開花シーズンが好きみたいだけど
フンザが一番いいのは夏だよ。今はただ寒いだけ。」
とみんなに言われてしまう(笑)
一時帰国し、暫く地元で過ごした後は
中央アジアあたりから旅を再スタートしようと思っていたのだけど
その前に再訪するのもいいな、と思いはじめている。
今まで一度訪れた国に行くよりは
まだ見ぬ景色、行ったことのない国に行きたかっただけど。
それだけ、私にとってここは特別な場所になりつつあるみたい。


それにしても本当に寒い。
寒すぎて、シャワーを浴びるのも嫌になるくらいだ。
どこにいても、何をしていても「寒い」が口癖のようになっている。
ここでずっと暮らしている方々のタフさに、本当に尊敬する。

夜、中国人の旅人が新たにやって来た。
と思ったら、彼は生まれた時からずっと日本に住んでいるようで
中国語は話せないらしかった。
インド経由でラホールからパキスタン入りし
南部に向かう予定だったけど
どうやら都市部の安宿は中国人お断りの場所ばかりで
高いホテルしか見つからなかったらしい。

同じ隣国でもインドとパキスタンは依然として緊張状態だけど
中国とパキスタンの関係は比較的良好なのかと思っていたので不思議だ。
世界中どこへ行っても中国人はあまり好かれていないイメージがあるけど
このあたりの地域の人に聞くと「中国、中国人が好き」と言う人も多い。
パキスタン北部と中国をつなぐカラコルムハイウエイの建設でも
中国が多大な人的・技術的援助を行ったと聞くし
このハイウエイは中パ友好の生きた証となっているようだ。
中国とはカラコルムを通した貿易も盛んに行われているようなので
そうしたことで、この地域の人たちは中国に好印象を持っているのかも知れない。
しかし国全体で考えたら複雑な問題があるということなのか。


中国人の彼は南部に行ってもきっと状況は同じだろうと考えて
そうした場所を避けるようにして北部に来たのだと言う。
数日滞在する予定とのこと。

日本語で会話をできることが嬉しいし、心強い!


*end*
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